最高裁判所第二小法廷 昭和43年(オ)1143号 判決 1969年2月28日
上告人
東北町農業協同組合
代理人
成田芳造
小野善雄
被上告人
細井末一郎
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人成田芳造、同小野善雄の上告理由第一について。
被上告人の本訴主位的請求は、選挙および当選の有効を前提として被上告人が上告組合の理事であることの確認を請求するものであるから、農業協同組合法九六条所定の行政救済を求めうべき事項ではないと解した原審の判断は正当であり、したがつて、同条が訴訟の前審手続を定めたものであると否とにかかわりなく、論旨は理由がないものといわなければならない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しがたい。
同第二について。
上告人が次点者吹越嘉裕を当選人と定めその承諾を得て公告登記を経たとしても、これをもつて被上告人の当選を妨げる事由とすることができないことはいうまでもないところであり、また右吹越の当選につき所論の手続を経ることが、本訴請求の前提要件となるものでもない。その他原判決に所論の違法はなく、論旨は採用の限りでない。
同第三について。
農業協同組合法四二条の二の規定は、単に同条所定の役職員に対し競業避止義務を課したに止まるものであつて、所論のようにその就任資格を制限した規定ではないと解した原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎 村上朝一)